「だから、願掛けのつもりでやったんだ。あのおまじない」

 こうして話すと、過去の自分の情けなさに笑えてくる。

 俺に勇気があれば。

 こんなおまじないなんかに頼らず、自分の気持ちをぶつけていたら。

 いまも隣りで笑っていられたんじゃないかって思う。

 あのとき俺が願ったのは、些細なようで大きな願いだった。

 俺の願いは全部、まりかのことだった。