「……まりか」

「なに……?」

 ふいに亮が歩みを止めた。

 ひとつの街頭の下だった。

 灯りに照らされて見えた亮の顔は真剣で、わたしも亮をじっと見つめ返す。

 そう言えば、気付けば亮はわたしの名前を呼んでいる。

 まるで、あの頃に戻ったみたいだ。

「俺、本当にまりかのこと、好きだったよ」

「……っ!」

 一瞬にして心臓が跳ねて、ぶわっと顔が熱くなる。

 いまが夜でよかった。

 こんな顔、亮には絶対に見せられない。

 ……けれど。

 全部、過去の話だよね、亮……。