ふいに亮の足が止まって、それにならうようにわたしも歩みを止めた。

「……恋まじないは、本物だよ」

「え……?」

 消え入りそうな声で言った亮の言葉に、衝撃を受ける。

「今日は条件が揃ってるから、願いが本物なら叶ったはずだ」

「なに、どういうこと?」

 言われていることはすぐに理解できないけれど、上を見上げる亮の横顔がひとつの可能性へと導いてくれるようだった。

「まりか。上、見てみろよ」

 亮に言われて見上げると、驚くほど大きな月が空のてっぺんに浮かんでた。

「満月だ……」