丸テーブルに向かい合って座ると、工藤くんはカバンの中からルーズリーフとペンを取り出す。
「まずは、政府のこの政策のねらいと俺達の活動内容について…」
そう言って工藤くんは、さらさらと紙にペンを走らせ始めた。
「政府は少子高齢化対策として、今回の政策を打ち出した。そのねらいは、何が1番大きいと思う?」
「はい。やはり現代の若者は、異性とおつき合いしないまま年齢を重ねる人が多いです。そこで政府は私達に、少し強引ではありますが、まずはお試しで異性とつき合うという体験をさせようと考えたのではないかと。そうすることによって、自然と異性とのつき合い方が身についたり、つき合うことへのハードルを下げることに繋がるかと思います」
工藤くんは時折頷きながら、メモを取る。
「そうだな、俺も概ね同意見だ。よって活動報告のレポートでは、その点を踏まえて言及すれば、良い評価を得られやすいと思う。では次に、俺達の活動内容について。これは俺から話してもいい?」
「はい、どうぞ」
「まず、月に2回以上の活動。これは俺にとって少々厳しい。なぜなら勉強時間を削られるからだ。男女のつき合いとなれば、1回につき2時間程度では短いだろう。昼前から夕食時間まで、くらいが妥当だろうが、そんなに時間を割いては受験勉強に支障が出る。君はどう?」
「はい、そこは私も同じ懸念事項です」
「だよな。だけど、それなりの時間を費やさなければ、活動報告は評価されない。そこでだ」
工藤くんが顔を上げて私をじっと見る。
「日常生活の中で、これはやらなければいけない、ということを2人の時間の中に組み込む。そうすることで、勉強に費やす時間を少しでも多く捻出したい」
「例えば?」
「俺は図書館や本屋で過去問や参考書を選ぶ時間だ」
「なるほど。それを私との時間の中に取り入れるってことですね?」
「ああ。それでもいいか?」
「もちろんです。私にとっても必要な時間ですから」
「よし。じゃあ、そちら側としては他に何かある?」
聞かれて私は、うーん、と考え込む。
そしてハタと思いついた。
「あっ、私、コンタクトつけてるんですけど、処方箋が切れちゃったんです。だから近々眼科へ行かないといけなくて」
「ふうん…」
工藤くんは、なんだか別のことを考えているような相槌を打つ。
「あの、それはさすがにご一緒にって訳には…。いかない、ですよね?」
「いや、大丈夫だ。俺もついて行くよ」
「え、ほんとですか?」
「ああ。待合室で単語帳読めるしな」
確かに、と私は頷く。
「じゃあ、早速今日行ってみる?」
「え、いいんですか?」
「ああ。その前に、レポートの為にもどこかで昼食を一緒に食べよう」
「はい!」
お腹が空いていた私は、思わず張り切って返事をしてしまった。
「まずは、政府のこの政策のねらいと俺達の活動内容について…」
そう言って工藤くんは、さらさらと紙にペンを走らせ始めた。
「政府は少子高齢化対策として、今回の政策を打ち出した。そのねらいは、何が1番大きいと思う?」
「はい。やはり現代の若者は、異性とおつき合いしないまま年齢を重ねる人が多いです。そこで政府は私達に、少し強引ではありますが、まずはお試しで異性とつき合うという体験をさせようと考えたのではないかと。そうすることによって、自然と異性とのつき合い方が身についたり、つき合うことへのハードルを下げることに繋がるかと思います」
工藤くんは時折頷きながら、メモを取る。
「そうだな、俺も概ね同意見だ。よって活動報告のレポートでは、その点を踏まえて言及すれば、良い評価を得られやすいと思う。では次に、俺達の活動内容について。これは俺から話してもいい?」
「はい、どうぞ」
「まず、月に2回以上の活動。これは俺にとって少々厳しい。なぜなら勉強時間を削られるからだ。男女のつき合いとなれば、1回につき2時間程度では短いだろう。昼前から夕食時間まで、くらいが妥当だろうが、そんなに時間を割いては受験勉強に支障が出る。君はどう?」
「はい、そこは私も同じ懸念事項です」
「だよな。だけど、それなりの時間を費やさなければ、活動報告は評価されない。そこでだ」
工藤くんが顔を上げて私をじっと見る。
「日常生活の中で、これはやらなければいけない、ということを2人の時間の中に組み込む。そうすることで、勉強に費やす時間を少しでも多く捻出したい」
「例えば?」
「俺は図書館や本屋で過去問や参考書を選ぶ時間だ」
「なるほど。それを私との時間の中に取り入れるってことですね?」
「ああ。それでもいいか?」
「もちろんです。私にとっても必要な時間ですから」
「よし。じゃあ、そちら側としては他に何かある?」
聞かれて私は、うーん、と考え込む。
そしてハタと思いついた。
「あっ、私、コンタクトつけてるんですけど、処方箋が切れちゃったんです。だから近々眼科へ行かないといけなくて」
「ふうん…」
工藤くんは、なんだか別のことを考えているような相槌を打つ。
「あの、それはさすがにご一緒にって訳には…。いかない、ですよね?」
「いや、大丈夫だ。俺もついて行くよ」
「え、ほんとですか?」
「ああ。待合室で単語帳読めるしな」
確かに、と私は頷く。
「じゃあ、早速今日行ってみる?」
「え、いいんですか?」
「ああ。その前に、レポートの為にもどこかで昼食を一緒に食べよう」
「はい!」
お腹が空いていた私は、思わず張り切って返事をしてしまった。