「工藤くん、おはよう!」

「おはよう、結衣。遠足に行く小学生みたいだな。目が輝いてる」

「うん!お菓子もたくさん持って来たよ」

「あはは!さすがだな」

冬休みに入った12月24日。
私達は2泊3日で山梨のリゾートホテルに行くことにした。

ガイドブックに、広い屋内プールやショッピング街、レストラン、図書室やアクティビティルーム、露天風呂にスケートリンクなど、外に行かなくても充分楽しめるホテルと紹介されていて、きれいなイルミネーションで彩られた写真に私が一目惚れして決めた。

特急列車に乗り込んで工藤くんと並んで座ると、早くも私はワクワクが止まらなくなった。

「工藤くんとずーっと一緒にいられるなんて、夢みたいだね。しかもクリスマスイブだよ?はあ、これはもうサンタさんからのプレゼントだね!」

「結衣、可愛すぎる。キスしたく…」

「ダメ!」

毎度お馴染みのやり取りをしているうちに、あっという間に山梨に着いた。

送迎バスでホテルに到着すると、まるで外国に来たようなオシャレな街並みが広がっている。

「わあ、素敵!ここがホテル?なんだかおとぎの国に来たみたいだね」

私は工藤くんの手を引いて、早く早く!と急かす。

「はいはい。お子ちゃま結衣ちゃん。転ばないようにね」

いつもなら、もう!と膨れるところだけれど、今日ばかりは嬉しくて仕方ない。

早速チェックインすると、案内された部屋は広いバルコニーがついたメゾネットタイプの洋室だった。

「ひゃー!見て見て、螺旋階段だよ!」

私は荷物をそこら辺に放り出し、トントンと螺旋階段を駆け上がる。

「わあ!2階にもベッドがある。あ、お酒が飲めるバーカウンターだ!」

「お子ちゃま結衣ちゃん。お酒は20歳になってからね」

「ジュースでいいから、ここで飲みたい!」

「はいはい」

私のテンションに呆れ気味だった工藤くんは、水着に着替えて大きな室内プールに行くと、一気にはしゃぎ始めた。

「結衣、水着姿がめちゃくちゃ可愛い!浮き輪借りて一緒にプカプカしよう。波が出るプールもあるぞ。おおー、サウナと屋外ジャグジーまである!雪見ジャグジーだな」

私達は二人して子どもみたいに波の出るプールを楽しみ、ジャグジーに入りながら雪景色に見とれた。

ビーチベッドで美味しいジュースを飲んでから、またプールに戻って楽しむ。

夜は少しオシャレして、雰囲気の良いレストランでコース料理を堪能してから、きれいにライトアップされた敷地内の街並みを歩く。

二人でしっかりと手を繋ぎ、たくさん写真を撮った。