私達は図書館を出ると、近くの神社に向かった。

合格祈願をしてから、お揃いのお守りを買って交換する。

「クリスマスに神社に来るカップルって、俺らくらいだな」

「あはは!そうかも」

「ま、それも今年ならではの思い出だけど」

「そうだね。来年には笑い話になるね」

そして私達は、お互いの健闘を祈り合う。
次に会うのは受験後だ。

「樋口、がんばれよ。俺も必ず合格してみせるから」

「うん、がんばる。工藤くんに負けていられないもん」

「受験が終わったら、たくさんデートしような。ずっと離さないから」

私は耳まで真っ赤になる。

「樋口…。だから、可愛すぎるって。別れたくなくなるだろ?」

そう言うと工藤くんは、優しく私を抱きしめた。

「忘れないで、俺はいつだってそばにいる。大好きだよ、…結衣」

初めて名前をささやかれ、私は思わず息を呑んだ。

工藤くんの胸に顔を押し当てて、込み上げてくる涙を必死でこらえる。

「結衣?」

優しく呼ばれておずおずと顔を上げると、工藤くんはふっと頬を緩めて笑った。

「目に焼きつけておこう、可愛い結衣の顔」

「ちょ、あの、恥ずかしいから!」

耐え切れなくなって身体を離そうとすると、工藤くんは腕に力を込めて私を更に抱き寄せた。

じっと見つめられて、目を逸らせなくなる。

やがて切なそうな表情を浮かべた工藤くんは、ゆっくりと顔を近づけて、私にそっとキスをした。

唇をかすめるだけの、小さな小さな初めてのキス。

それは私の心の中の大切な宝物になった。