次の活動日は工藤くんのオープンキャンパスにつき添うことになっていた。

「樋口、何をそんなにソワソワ落ち着かないんだ?」

キャンパスを歩きながら、キョロキョロと周りの様子を気にする私に工藤くんが声をかける。

「だって、未来のお医者様の卵がいっぱいな訳でしょ?私、なんだか場違いで気おくれしちゃって…」

「何言ってんの。卵ならビビる必要ないでしょ」

「いや、卵って言っても1パック250円とかじゃないよ?金の卵だもん」

「高級な赤玉とか?それでも1パック400円くらいじゃない?」

「いや、もうちょっと高いのもあるよ…って、だから違うの!その卵じゃないから」

あはは!と工藤くんはおかしそうに笑う。

もう…、と呆れ気味になった私は、ハタと思い出した。

「あの、工藤くん」

「ん?なに」

「あのね、志望校のことなんだけど」

「うん」

「私、もっとしっかり考える。指定校推薦は一旦頭の中から外して、自分が本当に学びたいこと、将来の仕事も含めてじっくり考えてみる。そして本当に行きたい大学を探して、そこを受験する。指定校推薦がないなら、一般受験で挑戦する」

工藤くんは驚いたように目を見開いてから、嬉しそうな笑顔になる。

「ああ。樋口なら絶対に自分の決めた道を進める。一緒にがんばろう」

「うん!」

私も嬉しくなって笑顔で頷いた。