そのあとはハンバーガーショップで簡単に昼食を済ませて、駅前のショッピングビルに向かう。

本屋さんで参考書を見るのと、私が夏用のTシャツを買うのにつき合ってもらうことになっていた。

二人並んで駅からの通りを歩いていると、大きなヘアサロンの前で若い女性スタッフに声をかけられた。

「あの、すみません。もしお時間ありましたら、カットモデルをお願いできませんか?」

え?と私達は立ち止まる。

「40分ほどお時間頂けませんか?ご希望に合わせて無料でカットさせて頂きます。私はまだアシスタントですが、仕上げはベテランのスタッフがやりますのでご心配なく。良かったらお二人同時にできますよ」

その人が振り返ると、店内から別のスタッフも出て来た。

「私達二人で、お二人にお似合いのヘアスタイルをご提案します。お二人とも、最後にカットしたのはいつ頃ですか?」

思わず私達は顔を見合わせる。

「いつだろう…、半年以上前かな?」

「え、そんなに?」

「うん。工藤くんは?」

「そう言えば、俺も3ヶ月は行ってない」

お互いに言葉を失っていると、それならぜひ!と笑顔で店内に促された。

「まあ、時間もあるし、いいか」

「そうだね」

二人で案内された席に座る。

「お荷物はこちらのカゴにどうぞ」

「あ、はい。あの、単語帳見ててもいいですか?」

「…は?!」

スタッフの女性は、工藤くんの言葉にキョトンとしている。

私は笑いをこらえるのに必死だった。