泉小町(いずみこまち)がその生徒を見かけたのは、高校の入学式が終わった翌日のことだった。入学式の翌日部活紹介がされ、今日から見学をすることができる。

(えっと、カルタ部の部室は……)

小町が見学に行きたいと思っているカルタ部の部室を探して歩いていた時のことだった。小町の前から三人の女子生徒が楽しそうに話しながら歩いて来る。その中の一人に彼女の心は一瞬にして奪われてしまった。

肩より少し長い明るめの髪にリボンのカチューシャをつけている。真っ白な肌。大きな目と長い睫毛。笑った顔に浮かぶえくぼ。テレビに出ているアイドルよりも可愛い女の子だと小町は思った。

(何これ……)

女の子の笑った顔や鈴を転がしたかのような笑い声に、小町の胸が締め付けられていく。鼓動が早くなり、苦しいのに彼女から目を離すことができない。華奢な体を抱き締めたいという気持ちを懸命に堪え、小町は窓の外を見るフリをした。

「部活、次はどこに見学行く?」

「私、チア部見たいな〜」