雪くんが言った制裁の内容を知ったのは、退院後。と言いたかったが、何だかんだと入院が長引いたため、その期間に知ることとなった。

「社内もまだ、バタバタしているし、今回の件で義姉さんが社長を辞任することも重なって、僕のマンションにもマスコミが張り付いているんだ。そんな場所に、早智を一人でいさせたくないから、もう少しだけ入院していてもらえるかな」

 両親は私の身の安全を考えて賛成してくれたからいいものの、これを機に戻れとまた言い兼ねないか心配だった。
 しかし、雪くんが時間を見つけては会いに来るものだから、高野辺家にもマスコミが来ることを懸念したのだ。
 いくら力があっても、マスコミを止めることはできない。問題を彼らが起こさない限りは警察も当てにならないのだ。

「社長が辞任するということは、小楯さんたちは? 解雇したの?」
「どちらかというと、自主退職かな。今の騒ぎの原因は義姉さんと小楯たちだから、社内には居辛いだろう」
「確かに。そうなると……私も、だね」

 戻ったところで、今までのようにはならない。指示を受けていなくても、第二第三の小楯さんたちが現れるだろう。