「うん。確かにメリットはあるよね。母方の親戚には、大手銀行の設立に携わった人がいるから。ううん、そこだけじゃなくて他の銀行も。だから会社に万が一のことが起こったら、融資をしてもらうような口添えはできるもの。もしくは私の実家が」
でも、この事実を知っている人は少ない。親戚と言っても、住んでいる場所も遠いし、四親等以上離れている。
けれど向こうも旧家であるため、身内を大事にする習性があった。だから、離れていても、伝手を頼ればできてしまうのだ。
実際、親戚の人がお金を出すわけではなく、口添えをするだけだから。
「一応、義父にはそう言って納得してもらったけれど、絶対にそんなことはしないと誓う。早智に迷惑をかけない」
「うん。今度は雪くんが守ってくれるって言っていたもんね」
「……ごめん、守れなくて」
雪くんは私の頭に手を近づけてから、頬に触れた。それも痛々しそうな顔で。
これではどっちが怪我人か分からない。でも、痛みを分け合うっていうのは、こんな感じなのかな、と思うと胸が熱くなった。
「念の為にいうけど、僕はメリットがあるから早智と結婚するわけじゃないからね」
「ないの? メリット。私はあるけど」
「えっ、社長夫人だったら、すぐに叶えられるけど」
でも、この事実を知っている人は少ない。親戚と言っても、住んでいる場所も遠いし、四親等以上離れている。
けれど向こうも旧家であるため、身内を大事にする習性があった。だから、離れていても、伝手を頼ればできてしまうのだ。
実際、親戚の人がお金を出すわけではなく、口添えをするだけだから。
「一応、義父にはそう言って納得してもらったけれど、絶対にそんなことはしないと誓う。早智に迷惑をかけない」
「うん。今度は雪くんが守ってくれるって言っていたもんね」
「……ごめん、守れなくて」
雪くんは私の頭に手を近づけてから、頬に触れた。それも痛々しそうな顔で。
これではどっちが怪我人か分からない。でも、痛みを分け合うっていうのは、こんな感じなのかな、と思うと胸が熱くなった。
「念の為にいうけど、僕はメリットがあるから早智と結婚するわけじゃないからね」
「ないの? メリット。私はあるけど」
「えっ、社長夫人だったら、すぐに叶えられるけど」