「言ったじゃないか。ずっと昔から早智のことが好きなんだって」
「……そこまでは……聞いてない、と思う」

 ずっと、とか。昔から、とか。再会したばかりだから、どれくらい昔なのかは分からないけれど、ここは……聞き流しておこう。
 本題に入る前に、語られそうな勢いが雪くんから見て取れたからだ。

 そう、まるで大型犬が、大好きな飼い主さんに向かって構って構って、とはしゃいでいる姿と重なる。

「なら今、聞いたってことで」

 ニカッと笑う雪くんを見て、こんな感じだったかな、と一瞬、思ってしまった。いや、今は副社長になったのだから、昔とは違うのは当たり前だ。

 もしかしたら、こっちの雪くんの方が本当の姿なのかもしれない。ちょっとオドオドした気弱な少年はもういないのだ。

 そういえば、再会した時にそんな話をしたっけ。

『今度は僕がって』

 まさか、ね。