私がそう言うと、翔くんは笑顔で私のことを抱きしめる。

仕事でなにかあった?


「翔くん?」
「……多分、もう付き纏われないと思う」

「あっ……」


詳しくは話されていないけれど、翔くんの言いたいことがすぐに理解できた。これは、間違いなく相道さんについてのことだろう。

私がいないところで、なにか言ったのかな。


「しつこいから、少し厳しく言ったんだ。もう、気にしなくていい」
「うん。ありがとう」

「当然だ。俺は、真衣と瑠愛を守るって決めたからな。もちろん、お腹の子のことも」


そう言った翔くんは、私に優しいキスを落とした。唇が離れたと同時に、ハンバーグのソースを口の周りに付けた瑠愛がリビングから出てくる。

瑠愛のことを軽々と抱き上げた翔くんは、彼女の頭を優しく撫でながら目線を合わせた。


「瑠愛。お姉さんになるんだよ」
「え?」

「ママのお腹に、赤ちゃんがいるんだ」


翔くんの言葉に、瑠愛は目をまん丸にしている。そして翔くんから離れた瑠愛は、今度は私に抱きついた。


「うれしい!! ママ、ありがとう」


まさか、瑠愛の口から感謝の言葉が飛び出すなんて思ってもいなくて、鼻の奥がツンと痛くなった。

翔くんと瑠愛がいてくれて、私は本当に幸せだ。この先もずっとずっと、この幸せが続くといいな。


「真衣、愛してる」
「私も、ずっと愛してる」

*END*