夕食のメニューを聞いて「わーい!!」と飛び跳ねる瑠愛。

現金だなぁと思う半面、寂しい気持ちもよくわかる。私は夜遅くまで起きていられるけれど、瑠愛は21時には夢の中だ。

瑠愛が寝てから帰って来て、起きる前にマンションを出て行ってしまうことが多い翔くんと瑠愛が、家庭内で顔を合わせることは少ない。

激しく駄々をこねたりして困らせることはないものの、寂しいよね。


「さて、ハンバーグ完成。瑠愛、手を洗ってきて」
「はーい!」


元気よく返事をして洗面所に向かった瑠愛は手を洗い終えると、ルンルン鼻歌を歌いながら椅子に座った。


「はい。お待たせ」
「わぁ!! ハンバーグおいしそう! いただきますっ」


両手を合わせてからハンバーグを食べ始めた瑠愛。そんな彼女を見つめていると、玄関から物音が聞こえてくる。

もしかして、翔くんが帰って来た?


「瑠愛、パパが帰って来たかも。見てくるから待っててね」


席を立って玄関へと向かうと、翔くんの姿が目に入った。遅くなると言っていたけれど、早く帰って来れたようだ。


「お帰りなさい。早く帰って来れたんだね」

「あぁー……なんか、無性に真衣と瑠愛に会いたくて。まだちょっと仕事残ってるけど、早く切り上げた」
「そっか。瑠愛も、パパのこと待ってるよ」