「あはっ、ダイナミックな溜め息だったね」
「す、すみません」


恥ずかしくなって、お腹に掛かっているタオルケットで顔の半分を隠した。

日々バタバタして忙しい草壁さんも疲れているのに、そんな人の前で疲労感を醸し出しては申し訳ない。


「ずっと体調悪かったの?」
「いえ。昨日まではそんなに」

「ストレスかな? ほかに変わったことない?」


草壁さんにそう質問され、ここ最近のことを思い出してみる。

仕事が終われば瑠愛をお迎えに行ってから夕食準備。瑠愛をお風呂に入れて寝かしつけて……。特に変わったことはなにもない。

強いて言うなら、相道さんの存在だ。彼女のことに関しては、もう私が他科へ異動するしか方法はなさそうだ。でも、私が外科にいなくなることで相道さんが翔くんに近付くのは嫌だから、異動だけは避けたい。


「とにかく今は休もう。大丈夫、私は2人の味方だから」
「……ありがとうございます」


私がそう言うと、草壁さんは笑顔でその場を離れた。草壁さんがいなくなり、改めて最近のことを振り返ってみると、ひとつ気掛かりなことがあることに気が付いた。

……生理が、来ていない。
相道さんのこともあったから、本当にストレスが原因かもしれない。

だけど。だけどもし、妊娠していたら?