私の身体を支えたまま、外科外来の奥にある処置室のベッドまで付き添ってくれた草壁さん。横になり、高ぶった気持ちを落ち着ける。


「すみません……」
「いいのよ。ストレス?」
「……ですかね。それより、相道さんは?」

「どこかに行っていないわ。まったく……本当厄介よね。2人の仲を引き裂こうなんて、100年早いわ」


そう言いながら溜め息を漏らした草壁さんは、私のバイタルチェックをしてくれる。


「うん、バイタルは異常なし。少し休みな? 疲れてるんだよ」
「ありがとうございます……」

「なにかあったらコール鳴らして」


ナースコールを私の近くに置いてくれた草壁さんはまだ仕事が残っているらしく、外来へと戻って行ってしまった。彼女の優しさに、涙が溢れる。

あぁ……もう。
一体どうすれば、相道さんは翔くんのことを諦めてくれるのだろう。

『男は若い子が好き』と言い続ければ、私が折れるとでも思っているのだろうか。翔くんもしっかり私の存在を主張してくれているのに、ここまで執着されるなんて……。


「はぁ……」


思わず大きな溜め息を漏らしてしまったとき、カーテンの向こう側で「ぷっ」と、誰かが吹き出した。

「でっかい溜め息だな」と言う声と共に姿を表したのは翔くんだ。きっと、草壁さんが伝えてくれたのだろう。