突然ハワイに行くと言い出したことには驚いたけれど、翌日の仕事のことも考えず、家族水要らずで過ごせることは嬉しい。

翔くんの隣でパンケーキを頬張る瑠愛も、ずっと笑顔だ。


「パパおかお、あかいねー」
「うん、たまにはいいのよ。いつもお仕事頑張ってくれてるでしょう?」

「うん! パパすごいよね!」


口の周りにパンケーキの生クリームを付けたまま、瑠愛が言う。

翔くんの仕事が大変だということをある程度理解している瑠愛は、彼の帰りが遅かったりオンコールで突然呼ばれたりしても『寂しい』と口に出したことはない。

その分、こうして一緒に過ごせるときの彼女のポジションはいつも翔くんの隣だ。


「ママの方がすごいぞ? 瑠愛のこと産んで育てて、仕事も家事も手を抜かない」
「うん! ママもすごいっ」


瑠愛に言い聞かせているのだとわかっていても、翔くんの言葉が嬉しい。


「持ちつ持たれつの関係よ。私の中で、どっちが偉いとかはないの」
「あー……真衣がそれだから」


そう言った翔くんは私の方へと身を乗り出すと、耳元でなにか囁いた。その言葉に一気に体温が上昇した私は、デザートを取りに慌てて席を立つ。

やっぱり、私に対する翔くんの溺愛は止まらない。



「瑠愛が寝たら、もう1回しよう」