それをわかって翔くんがこのホテルを予約してくれたのだろうけれど、さすがにこれは贅沢すぎない?

リフレッシュのために休暇を取って海外旅行をプレゼントしてくれたのは嬉しいけれど、翔くんの普段になっていないか心配だ。


「チェックイン終わった。部屋に行こうか」


キャリーバッグはホテルの人が運んでくれるのだろう。手ぶらになった翔くんが、瑠愛の抱っこを変わってくれた。

翔くんの後に続いてエレベーターに乗り込むと、35階のランプが点灯している。


「もしかして最上階?」
「そう。しかも、スイートルーム」

「えっ!?」


まさか、そんな最高の部屋を予約していてくれたなんて。


「俺がそうしたかったんだから、真衣は気にしなくていい」


まるで、私の心を見抜いたような発言。そんな風に言われては、もうなにも言い返せない。

黙ったまま翔くんの背中を見つめていると、「ピンポン」と35階に到着したことを知らせた。ゆっくりと開いたエレベーターの扉の先を見て、また声が出なくなる。

広い35階フロアには、私たちが宿泊する部屋を含めて2部屋しかない。それはつまり、1室がとても広いということだろう。

贅沢すぎて、めまいがしそうだ。


「これは広そうだな」
「……うん。本当贅沢だよ」