踏み台に瑠愛を乗せ手を洗ってから再びリビングに戻ると、テーブルには煮込みハンバーグとエビフリッターのサラダが用意されていた。


「ごめんね。本当はもう1品作りたかったんだけど、時間がなくて……」
「充分だ。ありがとう」

「……今、ご飯持って行くね」


感謝の気持ちを伝えながら椅子に座ると、キッチンでご飯をよそっている真衣は嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

いや。本当に充分だ。俺は帰宅すれば食事が用意されていて、すぐ食べることが出来る。

しかし、真衣はそうではない。帰宅前に瑠愛のお迎えに行って、休む間もなく食事の支度をするのは本当に大変だろう。


「さぁ、食べよ。瑠愛、お待たせ」
「わーい！　いただきますっ！」


パチンと両手を合わせてあいさつをした瑠愛は、すごい勢いで煮込みハンバーグを食べ始めた。あっという間に口の周りがソースまみれになるが、それもまた可愛い。

それに、それほど煮込みハンバーグが美味しいということだろう。


「翔くんも、冷めないうちに食べて」
「あぁ。いただきます」


ハンバーグを1口大に切ってから食べると、濃厚なデミグラスソースが口の中いっぱいに広がる。

相変わらず、真衣の手料理は美味しい。結婚した当初に比べて、献立のレパートリーも増えてきているようだ。

ただ、真衣に家事全般の負担をかけてしまっていないか心配だ。