「私、教えてない! 勝手に調べたんだよ。きっと住所もなにもかもバレてる」
友梨奈の命令を無視すれば、詩乃と直斗が家にやってくるかもしれない。

そこまで用意周到だとは思わなかった。

「それなら、廃墟へは私も一緒に行く。別に、早希ひとりで来いって言われてるんじゃないでしょう?」

「でも……」
「ひとりで廃墟になんて行ったらどうなるかわからないよ?」

学校の中ならまだいい。
大きな声を上げたり、すぐに誰かに助けを求めることができるから。

だけど外となるとそうはいかなくなってしまう。
しかも指定場所は廃墟だ。

とても早希ひとりでは行かせられない。
「大丈夫。私が一緒にいるからね」

絵里香はそう言い、早希の手を握りしめたのだった。