「どうして? これくらいのことしても当然でしょう? 私はこいつの人生を変えてやったんだから」

もうすでに最初に会った時の印象はなくなっていた。
今の友梨奈はまるで傍若無人なお姫様みたいだ。

「だけど、万引きは犯罪なんだよ!?」
「だから何? 病気で入院してたんじゃ犯罪者にだってなれないでしょう?」

友梨奈はクスクスと笑みを浮かべる。
詩乃と直斗も同じように笑う。

この人達にはきっと何を言っても通用しない。
心が動くようなことだってないのかもしれない。

絵里香は早希の腕を掴んで大股であるき出した。
これ以上同じ空間にいたくなかったし、用事があればどうせすぐにメッセージが届くはずだ。

友梨奈はふたりを呼び止めることなく、いつまでも笑い続けていたのだった。