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「へぇ、ふたりで万引きしてきたんだ?」
屋上へ行くと友梨奈が教室から持ってきた椅子に座って待っていた。

万引きの一部始終を説明したのは詩乃と直斗だった。
「結構使えるかもしれませんよ」

詩乃がニヤニヤといやらしい笑みを早希と絵里香へ投げかけている。
絵里香はムッとして睨み返し、早希はうつむいた。

「そうだね。ひとりじゃできないことでも、ふたりにやってもらえればできるかもしれない」
友梨奈はそう言って受け取ったパンの袋を開ける。

ウインナーの香ばしい匂いが風にのってやってきたけれど、絵里香は少しも食欲を刺激されなかった。
「どうしてこんなことをさせるの」

悠々とお昼を食べ始めた友梨奈に絵里香は食いつくように質問した。