そちらへ振り向いてみると教室の入口に詩乃と直斗が立っていたのだ。
ふたりとも無表情でジッとこちらを見つめている。

さすがに木刀は持っていないようだけれど、その様子は異様だった。
「私、やっぱり行かなきゃ」

早希が怯えたように立ち上がる。

「待って、行っちゃダメだよ。万引きなんてしたら、今度はどんなことをさせられるかわからないんだから」

友梨奈の命令は絶対にエスカレートしていく。
早希がどこまで従順になれるか確認しているのかもしれない。

「でも……」
青ざめたまま、詩乃と直斗を見つめる。

ふたりは早希を監視しに来たのだろう。
きっと、早希の行動はすべて友梨奈に筒抜けだ。