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校舎裏からどこをどう通ってここまで来たのかわからない。
気がつけばふたりは学校から近い公園のベンチに座っていた。

遊具がある場所では子供たちが遊んでいて、空はまだ明るい時間だ。
「どうしよう。私たちとんでもない相手に頼っちゃったのかもしれない」

早希はさっきから両手を握りしめて震えている。
絵里香はそんな早希の肩をそっと抱いた。

「大丈夫だよ、きっとどうにかなるから」
そう励まして見たところで、解決策はなにも浮かんではいなかった。

どうすればいいのか全くわからない。

妙な動きをすれば早希に病気を戻されてしまうだろうし、下手をすれば他の病気も移動されて本当に死んでしまうかもしれない。

絵里香は直斗が心臓の病気だったと言っていたのをちゃんと覚えていた。
それはもしかしたら、命に関わることだったのかもしれない。