「自己紹介して」
友梨奈に促されて女子生徒が前に出た。

「私は大月詩乃」
「俺は久保井直斗だ」

それぞれ名前を名乗っても、聞いたことのない名前だった。
「ふたりとも私が助けてあげたの」

「はい、友梨奈さまに助けてもらいました」
言ったのは直斗だ。

直斗は中学生にしては筋肉質な体で、背も高い。
高校生だと言っても通りそうだ。

そんな直斗が小柄な友梨奈を友梨奈さまと呼んでいる様子は異様だった。

「私は交通事故で足が動かなくなった。だけど友梨奈さまが動くようにしてくれた」

「俺は心臓が悪くて入学してから1度も学校に来られなかった。それを、友梨奈さまが足すけてくれた」