「あぁ、それなら永山にお願いしようか」
絵里香はすぐに席を立って早希に近づいた。

早希はその間にもずっと咳き込み続けていて顔色は悪い。
少し横になるだけで治るかどうかも怪しそうだ。

「立てる?」
絵里香の言葉に早希は小さく頷き、絵里香の手を借りながら立ち上がった。

少し足元をふらつかせながらもどうにかふたりで教室を出た。

教室の中はどうしても空気が停滞してしまうから、窓の開け放たれている廊下の方が幾分楽そうだ。

早希を保健室へ連れて行くと、すぐにベッドに寝かされた。
横になると少しマシになるのか呼吸が落ち着いてきた。

絵里香は早希の邪魔にならないようにそっと保健室を出たのだった。