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それから3時間目の授業が終わるまで早希の体調に異変は現れなかった。
「4時間目は体育だけど、どうする?」

絵里香は体操着の入った袋を片手に持って早希に聞いた。
早希は少し迷った様子を見せたけれど、すぐに「参加する」と、答えた。

「大丈夫そう?」

「うん。もうなにも心配する感じがしないの。もし途中で体調が崩れたら、そのときはちゃんと休むから」

「わかった。今日はバスケだよ」
「私バスケって大好き! やったことはあまりないけど、ルールはちゃんと覚えてるよ」

ふたりで言い合いながら体育館へ向かう。

体操着姿の早希を見るのは何度目か、絵里香はその姿の早希を見た瞬間思わず抱きついてしまった。

体操着はほとんど着られていなくて、まだ新品の匂いがしている。
「ちょっと絵里香、感動しすぎだって」