早希が取り出したのは真っ白な封筒だった。
表にも裏にも送り主の名前は書かれていないようだ。

早希は上履きを取り出して下駄箱にローファーを入れ、その上にチョコレートを置いて蓋を閉めた。

上履きに足を入れながら手紙を見つめる。
「もしかしてラブレター?」

冗談半分でそう聞くと早希は頬を少し赤くして「たぶん、そんなんじゃないし!」と、反論した。

それでも中身を見られるのが恥ずかしいようで、後ろを向いて手紙を読み始めた。
もしもラブレターだったらここから早希の恋が始まるかもしれないんだ。

私は恋の始まりを見ているのかもしれない。
そう思うと絵里香の心も沸き立ってきた。

けれど手紙を読み終えた早希は軽く肩をすくめて見せた。