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不思議な力を持つ女子生徒は実在した。
それが今でも信じられない気持ちだった。

「ねぇ、本当に大丈夫?」
屋上からの階段を下りながら絵里香は早希に聞いた。

早希はひとりで軽快な足取りで階段を下っている。
「全然大丈夫だよ! さっきまでの苦しさが嘘みたい!」

大きな声を上げても少しも咳は出ないらしい。
それが嬉しいのか早希は歌まで歌い始めた。

早希の歌声が誰もいない階段に響く。
「本当にいたんだね。噂の女子生徒」