絵里香の呼びかけに早希は大きく目を開いて、微笑んだ。
「うん、大丈夫」

しっかりとした声で返事をした瞬間、絵里香は早希の体を抱きしめていた。
さっきまでは青ざめていた顔も、今は赤みが差している。

こんなに一瞬にして早希の様子が変わるなんて思ってもいなかった。
「早希、よかった! よかったよぉ!」

このまま倒れて意識を失ってしまうかと思った。
そうなると取り返しのつかないことになる。

そう思って、怖くて怖くてたまらなかった。
「ほらね、治ったでしょう?」

いつの間にか早希から手を離している女子生徒が、変わらない笑みを浮かべて言った。

絵里香と早希は顔を見合わせ、それから女子生徒へ視線を移した。