絵里香は注意深く女子生徒を見つめる。
この子も噂を知っていたし、嘘をついて自分たちを騙しているのかもしれない。

「どうするの? その人、すごく苦しそうだけど?」
指摘されて早希を見ると、顔色が更に悪くなっている。

もう支えられて立っているのもやっとという様子で、足に力が入っていない。
「早希、大丈夫?」

近くで声をかけても返事がない。
絵里香は慌てて早希をコンクリートの床に寝かせた。

口元に耳を近づけると弱々しい呼吸音が聞こえてくる。
「早希、しっかりして!」

せっかくここまで来たのにこんなことになるなんて!
それなら噂に惑わされることなく、早退したほうがよかったんだ!

判断ミスで早希が大変なことになってしまった。
どうすればいいかわからず、涙が浮かんでくる。