「この学校にはどんな病気でも治してくれる女子生徒がいるんだって」
「どんな病気でも?」

さっそくの嘘くさい話しに絵里香は含み笑いを浮かべた。
早希はいったいどこからこの手の話を仕入れてきているんだろう。

本人も面白半分で語っているだけで、信じてはいなさそうだけれど。
「その女子生徒は屋上にいて、運が良くないと出会うことができないらしいよ!」

「そんな人がいるなら私も合ってみたいなぁ」

絵里香がのんびりとした口調で言うと、早希が少し咳き込みながら「なにか病気があるの?」と、聞いてきた。

「う~ん、風邪ひいたときとか治してほしいじゃん?」
そう答えたときだった。

突然早希が激しく咳き込み始めた。
コンコンと乾いた咳を何度も繰り返して苦しそうに眉を寄せる。