早紀は深呼吸をして、そして微笑んだ。
友梨奈と一緒にいた期間は短かったけれど、強烈な印象をふたりに与えた。

もう1度友梨奈に会うことがあっても、きっと声をかけることはないだろう。
「それじゃ、そろそろ行くね」

「うん。ありがとう」
「明日も来るから」

絵里香が早紀に手を振って病室を出る。
クリーム色の病院の廊下には珍しく人の姿がなかった。

患者たちはみんなおとなしく部屋にいるんだろうか。