屋上で倒れて緊急搬送された早紀はそのまま入院することになり、一時はどうなることかわからない状態まで陥った。

絵里香が面会することも叶わない時間が数日過ぎて、昨日からやっとお見舞いに来れるようになった。

「早紀、大丈夫?」
ベッドの上の早紀は数日前よりも随分やつれてしまったように見える。

けれどその表情は明るかった。
「大丈夫だよ。今日は調子がいいの」

そう言って微笑む早紀の頬は赤らんでいる。
「よかった。これ、お花」

病院に来る途中で購入したピンクの花を白い花瓶に入れると、部屋の中が一気に華やぐ。
「綺麗だね」

「うん。花瓶が白いから、きっとどんな色の花でも似合うよ。今度は黄色い花を持ってきてあげる」