だけどその表情はつまらなさそうに唇を尖らせている。
「友梨奈さまおかえりなさい」

ふたりがすぐに声をあわせて言う。
絵里香もついそれについて言いそうになり、慌てて口をつぐんだ。

友梨奈が屋上へ入ってくると、その後から早希がついてきた。
「早希!?」

「絵里香、大丈夫!?」
駆け寄ってくるけれど、立ち上がることができずそのまま尻もちをついてしまった。

両足とも感覚がなくなってしまっている。
しばらく歩くことは無理だろう。

「ごめん、絵里香が逃してくれたのに、私やっぱりほっとくことなんてできないよ!」

早希は目に涙をためて絵里香に抱きついた。
絵里香も早希の背中に両腕を回す。

「はいはい。素敵な友情ですねぇ」