「そうだよ。ようやくわかってくれた?」
詩乃が優しい声でささやきかけてくるので、早希は何度も頷いた。

そのたびにボロボロと流れ出した涙がコンクリートを濡らしていく。
「私は虫けらです!」

何度も同じ言葉を繰り返したときだった。
「やめて!!」

そんな声が聞こえてきて全員が振り向いていた。
そこに立っていたのは青ざめた顔の絵里香だったのだ。

「絵里香、どうして!?」

早希は咄嗟に駆け寄ろうとしたけれど、足がしびれてうまく立つことができなかった。

「トイレから戻ってこないからもしかしてと思って。こんなことするなんて、ひどいじゃん!」

絵里香が早希を支えて立たせる。