「そんな……私、授業が……」
咄嗟に立ち上がって逃げようとする早希の肩を、直斗が掴んで無理やり座らせた。

そして木刀で床を叩きつける。
「学校の授業で友梨奈さまの素晴らしさを教えてくれる? 教えてくれないでしょう?」

詩乃が早希の周りをグルグルと回り始めた。
これでは逃げ出すこともできない。

「授業を受けたところで病気だって治らない。あんなもの無意味だ」
「そうだよ、学校の授業なんて無意味。わかった?」

早希は無理やり頷かされた。

「それにくらべれ友梨奈さまは神様みたいな人だよ。どんな病気でもすぐに治してくれる。こんな人、他には絶対にいない!」

詩乃の声がひときわ高くなる。
キンッと響く声に早希は顔をしかめた。