いざ友梨奈を前にすれば萎縮してしまうかもしれない。
いつもどおり昼頃に連絡がくると思っていたから、心の準備もできていない状態だ。

早希の心臓は今にも張り裂けてしまいそうなほど早鐘を打っている。
一歩踏み出すごとに全身に汗が吹き出した。

階段を登りきって屋上へと続くドアの前で立ち止まり、大きく深呼吸をする。
大丈夫。

きっとうまくいく。
花蓮だって友梨奈から離れることができたんだから、自分にだってできるはず。

自分自身に強く言い聞かせてドアを開く。
風が強く吹き抜けてドアを押し返されそうになった。

早希は力を込めてドアを開き、目の前にいる3人を見つめた。
友梨奈を中央にして詩乃と直斗が立っている。

ふたりの手には木刀が握られていて、早希は一瞬尻込みしてしまいそうになった。