誰だって手を握るだけで病気が治るなんて信じない。
だからきっと、軽い気持ちだったんだろう。

「そうしたら本当に楽になって、お医者さんに行って診てもらっても治ってるって言われて、次の日から毎日学校へ行くことができるようになった」

そして待っていたのは友梨奈からの命令だった。

「最初はジュース買ってこいとか、その程度だったんだよ? それがいつの間にか誰かをイジメろとか、物を隠せとかに変わってきて、どんどん自分の心がすさんでいった。こんなことをして健康を手に入れるなんて馬鹿げてる。そう思って友梨奈に抗議したの。そうしたら、また病気を戻されて、今はこんな感じ」

花蓮は自分の痩せた体を見下ろして、また笑ってみせた。
笑うことで自分のことを受け入れていっているように見えた。

「学校には来れないの?」
絵里香からの質問に花蓮は肩をすくめた。