☆☆☆

下駄箱から遠ざかったふたりは多目的トイレに駆け込んでいた。
ここなら詩乃も直斗も追いかけてこないだろう。

ドアの鍵をかけてホッと胸をなでおろす。
「私、最低なことしちゃった……」

早希が両手で顔を覆う。

「仕方ないことだったんだよ。友梨奈からの命令を無視したらどうなるか、わかってるでしょう?」

「でも……」

自分の病気を戻されるだけならまだしも、他の病気を移動させられてしまうかもしれない。

それが直斗の持っていた病気だったらどうなる?

早希はずっと入院したままで、もう二度と学校には戻って来れないかもしれないんだ。
絶対にそんなことにはさせたくなかった。