《友梨奈さま:猪崎先生の靴を隠せ》
その命令に早希が絶句する。

「猪崎先生って、今年入ってきたばかりの先生だよね?」
「うん」

絵里香の質問に早希は小さく返事をした。
猪崎先生は気弱そうな男性教師で、理科を担当している。

授業はわかりやすく、生徒たちにも馴染んできたところだった。
それなのに靴を隠すようなことをしたら、学校に来づらくなるかもしれない。

「これって先生イジメをしろってこと?」
「そ、そこまでのことは書いてないよ」

早希がブンブンと左右に首を振って否定する。
だけど、やることはイジメと同じことだ。

それに、猪崎先生への命令がこれだけで終わるともわからない。