叫ぶように言うふたりの目には涙まで浮かんできている。

「これくらいどうってことないよ。いつも頑張ってくれてるお礼だから」

「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」

それでもふたりはすぐにはチョコレートを食べなかった。
まるでそれがお守りであるかのように両手で包み込んで大切に扱っている。

それから早希と絵里香の手にもチョコレートの包が載せられたけれど、ひとつずつだった。

「あなたたちの働きはまだまだってところだから、1個だけね」
友梨奈に言われて絵里香と早希はまた目を見交わせた。

ここではもらえるチョコレートの数で階級が決まっているみたいだ。
「あ、ありがとうございます」

早希がぎこちなく言う。
それと同時に詩乃が目を吊り上げた。

「なんなのその言い方は。せっかく友梨奈さまからいただいたのに、もっと感謝しなさい!」