だけど友梨奈が袋をあけて取り分け始めたら詩乃と直斗が嬉しそうに顔をほころばせた。

両手を器のようにして差し出し、その手にチョコレートの包が載せられるのを待っている。

「そっちのふたりはいらないの?」

チョコレートをもらう準備をしなかったからか、友梨奈が絵里香と早希に視線を向けてきた。

ふたりは目配せをし、そして詩乃たちと同じように両手で器を作って差し出した。

ここは抵抗しないほうが良さそうだ。
見たところ危ない食べ物でもなさそうだし。

友梨奈が詩乃と直斗の手のひらに3つずつチョコレートを置くと、ふたりとも大げさなほどに喜んで見せた。

「友梨奈さまありがとうございます!」
「こんな貴重なものをいただけるなんて、幸せです!」