そう言われればそうだ。
こうして休日に廃墟で会っていることといい、友梨奈の存在は都市伝説から身近な存在へと代わりつつある。

「話を戻すけど、病院で出会った友梨奈さまはすぐに私の足を治してくれたの。驚いたよ、歩けないかもしれないって言われてたった数分後に、私は歩けるようになったんだから」

友梨奈の力を目の当たりにした今、それが大げさでもなんでもないと絵里香にもわかった。
「どうして詩乃を助けようと思った……んですか?」

絵里香がぎこちない敬語を友梨奈へ向けて使う。

「かわいそうだなって思ったから。自分と同じ位の年令の子がもう歩けないかもしれないなんて、とてもほっとけないでしょう?」

友梨奈はとてもまともなことを言っているように聞こえる。
だけど助けた後はどうだろう。

友梨奈は今でも詩乃を自分のもとに縛り付けているんじゃないだろうか。
そう思ったが、絵里香はなにも言えなかった。