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「私が友梨奈さまに初めてであったのは病院でだった。その時私は交通事故で足を大怪我して、これから先歩けるようになるかどうかもわからない状態だった」

詩乃が静かに語っている。
絵里香と早希はカーペットの上に座ってその話に耳を傾けた。

「つい数時間前までは普通に歩けれいたのに、今はもう歩けるかどうかわからない。絶望したよ」

当時のことを思い出したように深いため息を吐き出す。
「友梨奈……さまとは、屋上で会ったんじゃないの?」

早希がおずおずと口をはさむ。
詩乃と直斗の視線を気にして同じように『さま』を付けたみたいだ。
それを見て友梨奈が微かに微笑んだ。

「都市伝説みたいになってる屋上の女子高生のこと? あれは確かに友梨奈さまのことだけれど、友梨奈さまだって常に屋上だけにいるわけじゃないでしょ」