それは恐怖で、苦しみで、悲しみで、全身を犯していく病魔だった。
途端に呼吸が苦しくなった。

何度も何度も咳き込んでその場に両膝をつく。
両手で喉をかきむしってどうにか空気を吸おうとするけれど、うまくいかない。

絵里香は両手で友梨奈の腰辺りを強く掴んだ。
助けて。

苦しい。
息ができない。

だけど声にならない。
声は喉を通ればヒューーヒューと風になってしまう。

「あはははは!」
詩乃が大きな声を上げて笑った。

直斗もおかしそうに口元に手を当てている。