夕方になるとでんちゃんは臨時寮にやって来る。一応ここの寮長だから、夜はここで過ごすことになってる。

もちろんでんちゃんの自室もあるけど、まだ就寝前…


この時間なら管理室にいる!


斗空に言われてあとをついて食堂から出た。

食堂から管理室はすぐそこで出た瞬間から姿が見えるから。

「でんちゃん…っ!」

管理室の小窓に駆け寄った。

「三森さん…みんなどうしたの?何かあった?」

「あの…っ」

すぅって息を吸ったけど言葉が出て来ない。

それどころか涙腺は緩くなるばっかりで、じわじわと涙が溜まっていく。

でんちゃんが片方の眉を上げて不思議そうに見てる。


どうしよう、どうやって言えば… 


とんっ 


背中に体温を感じた。

優しく触れる3人の手の温度。


そうだ、私1人じゃないんだ。

みんながいるんだ。



「私、臨時寮にいたいですっ」



ぎゅって目をつぶったから涙が出て来ちゃった。



「ここを出て行きたくないですっ」



私がいるべきところはここじゃないかもしれない、せっかく空いた女子寮に行かなくちゃいけないものわかってる。

だけど…



「ずっとずっとここがいいです…!」



臨時寮(ここ)が好きだから。


もっともっとみんなといたい、ここでー…



「いいよ、三森さんがいいなら」

「………。」 


「「「「えぇ!?」」」」


小窓越しにかけていたメガネを外したふぅっと息を吐きながら吹き始めた。


え、そんなあっさり…?

もっと何か言われると思ってたから逆に戸惑っちゃって無言の時間ができちゃったじゃん!