「あゆむん卒業おめでと~~~!」

パァンとさっちゃんがクラッカーの紐を引くとワァッと銀テープが飛び出した。

「…卒業やったっけ?」

「ちょっとでも明るい感じの言葉にしようと思ったらこれしか浮かばなかった!」

臨時寮の食堂でみんなで集まるのはちょっと久しぶりで、そして…


今日がみんなと臨時寮(ここ)で集まる最後の日。


「ありがとう、みんな」

さっちゃんがさよなら会だと寂しいから卒業パーティーにしてくれた。寮を卒業するわけじゃないけど、臨時寮からの卒業のがポジティブでいいよねって。

斗空とはまだケンカしたままだったけど、来てくれた。

私の前に座ってくすりとも笑いはしてないけど、それも通常と言えば通常だからなぁ。

「さぁさぁお菓子いっぱいあるから好きなの食べてな!」

「でんちゃんからも差し入れあるんだよ~、オレンジゼリー!あゆむん好きって言ってたもんね!」

いつものテーブルをみんなで囲って、お菓子にジュース、夕飯のあとでもそんなの気にしてなくて。

ただ喋って笑ってはしゃいで、恥ずかしいって思った本日の主役って書かれたタスキもホログラム光るとんがり帽も手放したくなくなっちゃうくらいこの時間が終わらなければいいのにって…


心の中で静かに思ってた。


最後なんだから笑っていようって思ってたけど、そんなこと思わなくてもよかった。


自然と笑顔になっちゃうもん、みんなといたら。



みんなとこうしていられたら。