「よっしゃ、これで終わりやな」

額から流れる汗を拭いた智成くんがホウキで掃いた最後のゴミを袋に入れた。

「暑くてやば~、溶けちゃいそうだよ~」

「あとで冷たい飲み物買いに行こっか」

「うん、あゆむん一緒に行こうね~♡」

直で日差しの当たる屋上は照り返しも強くて夜とは全然違うなぁ。

「ほなオレ下に置いてあるバケツ持ってくからゴミ袋壮太郎持って、斗空と歩夢ちゃんはホウキ返してきてくれるか?」

きっと花火のゴミが1番捨てるのが大変だから智成くんが引き受けてくれたんだと思う、自分で気が利くって言ってたけど本当にそんなところは気遣い上手だよね。みんながやりたくないことを引き受けてくれたんだ。

だから斗空と借りて来たホウキを学校まで…

「………。」

「…。」

「……。」

歩いて行くのはいいんだけど、実は掃除中斗空の声をほとんど聞いてない。普段からそんなに喋る方じゃないけど今日は特に聞いてない。


私が臨時寮(ここ)を出て行くって言ってから…

まだ斗空は何も言ってない。


学校までの道のりはちょっとあるのに。

「……。」

どう思ったかな?
さっちゃんみたいに寂しいとか思ってくれた?

あの言葉は…

「歩夢」

「えっ、なに?」

「歩夢は臨時寮(ここ)好きじゃないのか?」

「え…」

片手でホウキを持って真っ直ぐ前を見て歩いて行く、斗空の方を見たけど目は合わなかった。

「そんなことないよ!」

「ふーん、そうか」

「…。」

「……。」

なんかすっごい微妙な空気じゃない???

薄っすら圧を感じるし、他に言いたいことありそうな空気醸し出して…


どうしてそんなに怒ってるの?