「女子寮に転りょっ」

「えぇぇぇぇーっ!?やだやだっ、あゆむんいなくなるの寂しいよぉ~!!いやだぁぁぁぁーーーーっ!!」

「あ、ありがとうさっちゃん…そんなに言ってくれて」

屋上だから響くことはないけどさっちゃんの大声にちょっとだけびっくりしちゃった、そんな半泣きで言われると思ってないから。

「歩夢ちゃん出てくことにしたんや?」

「うん…、元々女子寮が空いてないからちょっとの間だけってことで住んでただけだから部屋が空いたなら…ね」

「そうかぁー、まぁでもここ暗いしなぁ女の子は怖いよなぁ」

「うん…」

そんなこと、もう思ってない。
怖いなんてこの寮にいて思わないけど。

「いやだよぉ~寂しいよぉ~…っ、行っちゃやだぁ~~~~!」

「泣くな壮太郎、女子寮行くだけやろ学校では会えるやん!」

「だってもう一緒に屋上で花火できないじゃん~!」

「それはもうしたらあかんねん!」

智成くんがさっちゃんの肩に手を置いてなぐさめる。

「それに、歩夢ちゃんにだって事情があるんやろ…なぁ歩夢ちゃん?」

「え…、うん…」

それに俯くしかできなかった。

私の事情は…

「じゃあせめてさよなら会しよ!寂しいからっ!!」

涙をいっぱい溜めた目で私を見ながら、がしっとさっちゃんが両手で私の左手を握った。

「またトランプしよ!お菓子いっぱい買って来てあゆむんのさよなら会しよ!!」

ぎゅっと握る手があったかくて、だから重ねるように左手を置いた。

「…うんっ、しよう!」

笑って答えた。

嬉しかったから、そんな風に言ってくれるのがだから…


あと少しの臨時寮(ここ)での生活もいっぱい楽しもうって。